図書館通信2021年2月号
推し、燃ゆ 宇佐見りん 第164回芥川賞受賞作
推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。
主人公のあかりは、アイドルグループ「まざま座」のメンバーである上野真幸を“推し”ている。高校一年生の時から応援し続け、ブログも書き続け、ファンの間でも「ガチ勢」として多少名が知れているほどのあかり。 しかし、真幸はなぜかファンの一人を殴ってしまい、炎上する。学校もバイトもうまくいかないあかりにとって、推しこそが自分の救いだったが……。著者は21歳の宇佐見りんさん。現役の大学生です。
心淋し川 西條 奈加 第164回直木賞受賞作
「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。ほか全六話。物語の主人公は古びた長屋に暮らす人々。 生きる喜びと哀しみが織りなす時代連作です。一話ずつじっくりと味わってほしいです。
旅する練習 乗代 雄介 第164回芥川賞候補作
「この旅のおかげでそれがわかったの。 本当に大切なことを見つけて、それに自分を合わせて生きるのって、すっごく楽しい。」
2020年、コロナ禍の春休み、小説家の「私」は、小学生卒業前の姪と旅に出る。旅をしながら、「私」は、気になる風景や草花や動物をスケッチするかのように小説を書き留め、少女は、自分がサッカーを続ける意義を見出す。鹿島
オルタネート 加藤シゲアキ 第164回直木賞候補作
交互の、かわるがわるの、一つおきの、互い違いの、
高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していく――。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繋がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。