司馬遼太郎の桃太郎

桃、という果物がある。
黄河上流の高山地帯で生まれ、古来より大陸では不老長寿の果物として、仙人伝説と深い関わりがある果物である。
日本へは弥生時代ごろ伝わり、鎌倉時代においては、水菓子と呼ばれ、珍重された。
そんな桃が、である。
京の足利家の治世も落ち着きを見せた三代義満の時代、吉備の国(今の岡山県南部)で、子を成したというのだ。